ドローンでみたオリーブ園。生産量予測や施肥状態の把握の研究も進む。

11月10日香川県小豆島町の高尾農園でオリーブ畑をドローンで撮影し、Olive Wellness大学のウェビナーで映像を公開しました。ドローンには市販のカメラを装着し視点を変えることで今まで容易に見ることができなった木の状態を見ることができました。

海外では、ドローンに高精度のマルチスペクトルカメラやセンサーを搭載して樹冠などの木の状態だけではなく、畑全体を見て土壌水分や肥料状態などのデータを取得する研究を進めています。EUで進められているIOF(Internet of Food & Farm 2020)プロジェクトでドローン活用の研究を進めているギリシャのアテネ大学のアンタスタシウ博士は、「顕微鏡を空中に置いて、それを使用してすべての異なる木を同時に見る」と例えています。

これらの技術を使用すると、個々のオリーブの木のニーズにより焦点を合わせることができるため、農家は農薬、肥料、または灌漑に費やすお金を減らすことでコストを削減でき、環境への影響も少なくなると期待されています。

THOC プロジェクト

IOCは2021年10月コルドバ大学に加盟国から代表者を集め、THOCプロジェクトのワークショップを開催しました。THOC(True Healthy Olive Cultivars)は、ウイルスなどに罹っておらず健康であることが認証されたオリーブ苗木を市場に提供することを目的としています。

ワークショップの目的は、生産者と農家がオリーブ素材を保証できるように、オリーブの認証システムを強化して、害虫や病気が蔓延する可能性を防ぐ狙いがあります。EUの植物保護機構(EPPO)とも協調して品種が本物であり病原体を持たないことを認証しようとしています。

進むオリーブ炭疽病の研究

炭疽病はオリーブがかかりやすい病気の一つです。オリーブ炭疽病は非常に毒性が高く、最大100パーセント実の損失を引き起こす可能性があります。さらに腐った果実の中で生成された毒素は、枝枯れを引き起こすことによって木自体を弱める可能性があり、治療が成功した後でも将来の収量を減らすことがあるので、実や枝を早く取り除く隔離処分が必要です。スペインでは、この病気が年間平均2.6%の作物の損失の原因となっています。

スペインのコルドバ大学の研究者達は、炭疽病を引き起こす糸状菌コレトトリカムに関する最新の研究成果を発表しました。以前はコレトトリカム属の2つの種のみがオリーブ炭疽病を引き起こすことが知られていましたが、日本を含む50を超える標本から12種のコレトトリカムが同定され、スペイン、ギリシャ、チュニジア、ポルトガル、カリフォルニアで最も広がっている種が確立されました。

オレア・オリーブ 炭疽病

オリーブ炭疽病には国内外とも銅の殺菌剤が、コストが低いこともあり近年最も一般的に使用されています。ただし、結果は大きく異なり、銅の殺菌剤が頻繁に使用されるスペインのオリーブ栽培地域からのコレトトリカム分離株は銅に対して耐性が高いが、ポルトガルからのサンプルは反対の結果を示したことをコルドバ大学が報告しています。

代表的銅剤のボルドー液はフランスで誕生してから約135年の歴史をもつ農薬です。溶け出す銅イオンの殺菌効果と銅イオンが植物体内でエチレン生成を促進する作用でしっかりとした生育をすることになり病害抵抗性を強める二つの働きがあり、安価であることから、世界的に今日においても広範囲に使用されています。ナメクジやカタツムリは銅イオンを嫌うので防除効果も期待できます。農林水産省の有機農産物規格で有機農法での利用が認められています。

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