オリーブオイルとタンパク質から作るフィルムー食品包装の新素材に期待
トルコのハラン大学工学部の研究員達は、大豆とゼラチンのタンパク質とオリーブオイル、ステアリン酸、レシチンの脂質から包装用フィルムを作りました。このOleofilms(オレオフィルム)と呼ぶ新素材は、食品包装プラスチックの代替品となると研究を進めています。
「従来のプラスチックフィルムは長期間の耐久性があり、低コスト、軽量、加工が容易などの特長がありますが、石油由来のため生分解せず、長期間自然界に残ります。」と研究者バシイギット氏は指摘。このオレオフィルムの最も注目すべき特徴は、「自然界ですぐに生分解するため、深刻な環境汚染を引き起こさないことで、さらに化石燃料への依存を減らすことで二酸化炭素排出量を削減します。」と研究の狙いを述べています。
このオレオフィルムが他の生分解性フィルムよりも優れている点は、弾力性と柔軟性で、極端な温度変化にもはるかに安定しています。オレオフィルムの化学構造により、食品や飲料への化学物質の漏出リスクが大幅に軽減されます。
最終的に完成したオレオフィルムは厚さ0.18~0.25mmで、耐水性がありガス透過性が低い、つまり、酸素、二酸化炭素、水蒸気はフィルムを簡単に通過できていません。
カットパイナップルは、輸送中および保管中に品質特性が急速に低下しますが、オレオフィルムを使用した実験では、果実を新鮮に保管保護することができ、実用化へあと一歩です。
ワインに代わり高級オリーブオイルを
英国の高級スーパーマーケットWaitrose(ウェイトローズ)は、「普段の生活商品は依然として重要だが、買い物客は贅沢への回帰を見せており、高級オリーブオイルは注目を集めている商品の一つだ」と最新の年次食品・飲料レポートで述べています。
レポートによると、2024年に入ってから、同スーパーマーケットでは高級エキストラバージンオリーブオイルの売り上げが15%増加しており、ホストへの贈り物としてオリーブオイルがワインに取って代わるかもしれないとさえ示唆しています。オリーブオイルの利点の一つは、いつまでも楽しめる贈り物だということで、ディナーパーティーであっという間に飲み干されるワインとは異なり、オイルは長く楽しめる贈り物になっています。オリーブオイルの価格が急騰していることを考えると、業界には良いことの一つです。
寒さ対策にオリーブオイル
米国で開催された2024年全米大学体育協会のクロスカントリー選手権で、オリーブオイルが重要な役割を果たしたとニューヨークタイムズ紙が報告しています。
オリンピックに2回出場し、ブリガムヤング大学のコーチを務めるエドワード・アイストーン氏(写真)は、選手たちがレース前にウォームアップウェアを脱いでレースの準備中、選手たちの腕、背中、脚にオリーブオイルを塗りました。オリーブオイルの薄い層は、温かい皮膚から冷たい空気への熱の損失をある程度防ぎます。レース中は体が生み出す暖かさと外気との間のギャップを埋めるのに役立ち、レース中にアームスリーブやシャツを脱ぐ必要がなくなり、走ることに集中できると言います。
長年レースでオリーブオイルを使用しているアイストーン氏は、これまでに遭遇した最も過酷なレースでは、「気温が華氏30度後半から華氏5(零下1℃から零下15℃)までの時にオリーブオイルを使用しました」と振り返っています。
オレア・オリーブ
オリーブオイルには、ポリフェノールなどの30を超える抗酸化、抗炎症化に役立つ生物活性化合物 が知られています。スキンケアに最適な成分が数多く含まれて肌のダメージ回復にも役立ちます。
オリーブオイルに含まれるスクアレンは、潤滑性に優れ、主にクリームなど化粧品の油剤や皮膚の保湿剤として知られています。このスクアレンは、1906年に日本の研究者辻本満丸によって黒子鮫の肝油から発見されました。自然保護の観点から、捕鯨が制限され、鯨由来のスクアレンの供給は縮小され、植物油由来のスクアレンには市場機会とみなされています。
スペインのコルドバにある遺伝子保存庫にある28品種のオリーブオイルに含まれるスクアレンの比較から、品種での含有量に差があると報告されています。