スペインでオリーブ栽培に人工知能AIを取り込むーベストの収穫時期を予測する

BeHToolは、スペイン産業の競争力向上のため産業貿易観光省が資金提供し、欧州連合の支援を受けたプロジェクトです。オリーブオイルの生産量を最大化し、品質をより向上させるために、過去および現在の気象情報、植物生育データ、衛星画像およびセンサーのデータを活用して、オリーブの最適収穫時期を予測する人工知能(AI)モデルの開発を目指しています。

気象と過去のオイルの生産データ、オリーブの季節ごとの生育状態の相関関係を分析するモデルを開発。さらに実際のオリーブオイルの品質は、小型の搾油機を使用して、オリーブ農場を区画に分け、区画毎にさまざまな熟成時期におけるオリーブオイルの化学的および官能評価に関する網羅的なデータベースの作成を開始しました。 通常、搾油所ではオリーブオイルの品質データを細分化して入手できないため、この情報はモデルの開発に不可欠です。

AIをオリーブ栽培に適用することで生産性やオイルの品質向上、資源の最適化などが期待されています。一方導入コスト、農家が何世代にもわたって培ってきた知識や直感が低下する可能性、機密性や公平性などの課題も指摘されています。

国際オリーブ・サステイナブル・カンファレンス  

カリフォルニア大学デイビス校オリーブセンターは、2024年9月5日から7日まで国際オリーブ持続可能性会議(IOSC)を開催。デイビス市での2日に加え、ナパバレーでの半日プログラムが行われます。

このIOSCでは、土壌の健康、生物多様性、搾油工場副産物の再利用など、持続可能なオリーブ農業とオリーブオイル生産のテーマに関する研究プロジェクトについて発表と議論が行われる予定です。「農場から食卓へ」のアプローチにより、人間と地球の両方の健康に利益をもたらす食事の選択や、経済的および社会的な持続可能性の課題にも取り組んでいます。

イタリアでは収量の予測

イタリアの研究者とカリフォルニア大学バークレー校の研究者達が気候データからオリーブの収量を予測するアルゴリズムを開発しました。これは気候変動の組み合わせがその後の収穫にどのような影響を与えるかを比較し開発されました。

イタリアの過去 15年間の気象や収量データ等を使用して開発されました。この複合指数意思決定支援アルゴリズムを使用すると、オリーブ事業者や農家に潜在的な気候リスクの早期警告を出せる可能性があります。例えば、暖かい冬の後の寒い秋は、オリーブミバエの発生に有利になる可能性を予測。既に多くの生産関係者がこのアルゴリズムを使用しています。他の作物の可能性についても研究を進めています。

オレア・オリーブ

温暖化の影響は、オリーブの開花や結実を妨げる春の高温、オイルの生産に影響する夏の高温のみならず暖冬にもあります。マンゴーなどその他多くの常緑果樹と同様にオリーブの花の誘導には冬の寒い温度が必要で、自然に暖かい冬(熱帯地方)やまたは人工的に暖かい冬(加熱ハウス)にさらされると花が咲かないことは良く知られています。

近年オリーブでは冬の寒い気温に反応して花芽を形成するタンパク質フロリゲンFTが葉に蓄積することが分かり、花の誘導における冬の寒さの役割が明らかになりました。研究者の実験で最低温度16℃の温室で栽培されたものは開花せず、10℃と13℃は同じ様に開花し、7℃より低い温度にさらすと開花しなくなり、4℃以下の温度では開花をまったく誘発していません。これらからオリーブの開花には冬の寒さ7℃から16℃温度が必要であると考えられています。

 

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