オレオカンタール発見から30年、抗炎症、抗がん、神経保護などの作用も明らかに

1993年の発見以来エキストラバージンオリーブオイル(EVOO)に含まれるオレオカンタールはEVOOで最も研究されているポリフェノールの1つになりました。

米国の研究者ビーチャムは1999年にイタリアのシチリアで開催された学会で地元のEVOO試飲した時、喉の奥で感じた灼熱感がイブプロフェンを飲み込んだときに引き起こされるものと同じであることに気づきました。イブプロフェンとは消炎鎮痛剤で、長期使用により癌や神経変性疾患の発生率が低下することが示されています。

彼はこの同じ感覚がEVOOの持つ天然の抗炎症機能を示しているのではないか、これがEVOOを含む地中海食の健康上の利点の説明に役立つのではないかと研究を進め、研究者達の関心が再び高まりました。同僚の一人がオリーブ油を表すオレオ、刺す傷を表すカンス、アルデヒドからアルをとりオレオカンタール(oleocanthal)と命名しました。

EVOOにはフルーティ、苦み、辛味という3つの特徴的な味覚の特性があります。エキストラバージンオリーブオイルに含まれるオレオカンタールが苦味の原因となり、さらに辛味の源で喉の奥の灼熱感として現れます。この灼熱感は、口ではなく喉で感じられます。これは、この感覚が口ではなく、喉、鼻腔などにある受容体によって伝わるためです。

オレオカンタールは、神経変性疾患、癌、その他の慢性炎症状態の発症を抑えるなど健康へのプラスの影響を実証する研究が増えていますが、これをベースにしたサプリメントなどの開発は限られた進歩しかありません。その主な理由は、この分子に関する特許を誰も所有していないためで、オレオカンタールから製造された医薬品は誰でもコピーでき、製薬会社は研究開発への投資を回収できなくなってしまいました。当面は、オレオカンタールの利点を得る最良の方法は、高品質のエクストラバージンオリーブオイルを摂取することのようです。

オリーブオイル価格の高騰が続く  

2023年欧州では干ばつや異常気象(熱波)でオリーブオイルの大幅減産、在庫が逼迫してオイルの価格は1992年以来の高値とななっています。

スペインでは9月に852€/100Kgで市場価格がピークに達した後、11月には787.5€/100Kgまで下落したものの、まだ前年同期比66.7%増の高値です。

日本でも円安やこの影響で大手食用油販売会社は、家庭用と業務用のオリーブオイルの販売価格を23〜80%引き上げると発表しています。

日本でのオリーブオイルは2022年から全般に値上がりしていますが、弊社では価格を据え置いています。グシュール 500ml缶 4,000円(税込み)

オンラインショップを訪問ください。 https://olivegarden.jp/

イタリアで国家農業の日を制定

イタリアは2024年2月、「農業は人間の基本的なニーズを満たし、国の経済的、環境的、社会的幸福を達成するために不可欠である」として、新たな法律を制定しました。この法律では、農家が環境を保護し、放棄の危険にさらされている地域での経済活動を促進し、農村の過疎化をくいとめるという農業の役割を定め、異常気象、山火事などから農地を守り維持することを求めています。

毎年11月の第2日曜日を国家農業デーと定め、種まき、日々の営農、収穫など農業が果たす基本的な役割についての認識を高めるとしています。

オレア・オリーブ

ポリフェノールは、天然に存在する植物化合物で抗酸化物質として作用する複数のフェノール(有機化合物)のファミリーを表す総称です。ポリフェノールには約8千種類あり、食品や飲料100gまたは100mlあたり少なくとも1mgのポリフェノールを含む食品が100種類以上知られています。

EVOOには約36種類のポリフェノールが含まれていると言われており、このうち重要なのはオレウロペイン、ヒドロキシチロソール、オレオカンタールです。その一つオレウロペイン(Oleuropein)もEVOOから発見されました。オレオカンタールとともに強力な抗酸化作用を示しており、EVOOの辛味の元となっています。

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