人工知能AIの深層学習:オリーブの種の画像診断で品種同定
オリーブの種(果核)の画像からオリーブの品種を識別するオリバー“OliVaR”と呼ぶAIによる診断ツールが開発されました。これはGEN4OLIVE(オリーブの遺伝子)と言う欧州のプロジェクトが、5ヶ国のオリーブ遺伝子バンクとスペインのコルドバ大学のデータベースをもとに開発しました。
GEN4OLIVEは133種類のオリーブの150,000枚を超える種の写真を収集し、イタリアローマのサピエンツァ大学のコンピューターサイエンス学部が、この画像データを学習し品種を識別診断する深層学習のアルゴリズムを作成、種の形態分類を自動化する新しい方法を開発しました。その結果、人間の目には見えない複雑な形態の詳細を検出できるAIツールが生まれました。
このツールで分析すると、入力サンプルとの適合性の程度が異なるオリーブの可能性のある品種のリストが表示され、栽培者や苗木育成者がオリーブの品種を迅速に識別できるようになります。このツールを無料で提供することで、業界内でオリーブの品種に関する総合的な理解を深めることを目指しています。
GEN4OLIVEは、コルドバ大学をはじめとする7ケ国の16の研究機関で構成され、地中海沿岸全域の約700品種と約1000 の野生および古代品種の遺伝子型を分析しています。気候変動と新たな感染症がオリーブの生産を脅かしている中、世界中の生産地域に存在するオリーブ品種のうち、商業的に利用されているのはわずか5%です。
GEN4OLIVEの狙いは、気候変動への耐性ある品種、害虫や病気に強い品種、生産性が高く高品質の品種の育成、さらに現代の栽培法であるの機械化・高密度植栽システムへの適応をめざしています。
2024年産オリーブオイル価格高値続く
2024年産のエキストラバージンオリーブオイルの生産者価格は、10月第2週のスペインで100kgあたり€732で、今年1月中旬の最高値€902.5から18.9%下落、イタリアでも100kgあたり€915で5.5%下落したものの未だ高値どまりしています。円安、諸経費の上昇で、輸入価格の値下げは見込めない見通しです。
オリーブの剪定枝からのバイオ炭製造方法
オリーブの木の剪定枝から得られるバイオ炭は、循環型経済戦略の一環として重要な資源です。この研究では、3つの炭製造装置(セミパイロット、パイロット、工業用)を使用して、得られるバイオ炭の特性と、農業や環境用途で使用する際の毒性を決定する生産パラメータを確認する研究が行われました。◎その結果、600℃が最適な製造温度であることがわかりました。これは、炭素含有量が高く(70.88%)、pHが中程度(8.1)、重金属の含有量が低く(<6 mg/kg)、作物に良い効果をもたらします。◎工業規模では、650℃を超える温度に達するとバイオ炭のpHが11を超え、深刻な植物毒性が生じることも判明しました。装置での材料の保持時間が長くなると、炭素の安定性が向上することも分かりました。大規模な設備で農業や環境用途に適したオリーブの剪定バイオ炭を生産することが可能です。
オレア・オリーブ
私達がオリーブの種と呼んでいるのは、正確には果核(英語でEndocarpあるいはStone、Pit)で、植物としての種(Seed)はこの果核の中にあります。果核は品種毎に形やみぞの状態が多様に異なり、IOCの基準では9項目、1,296種類があります。品種をDNA鑑定ではなく外観から判定するとき果核は重要な判定基準だと言われています。