北上するオリーブ栽培:ハウスでローズマリーとオリーブ栽培し新商品開発に挑戦

2018年6月から2年間北海道余市町、洞爺湖町、豊浦町の露地でオリーブ栽培越冬実験を行いました。寒暖地と比べると新しい葉の出る時期は遅いのですが期待通り成長しました。しかし長期の低温と積雪で冬の凍裂を防ぐことができませんでした。北国での栽培実験は豊浦町の実験用ビニールハウスに引き継がれ、冬の室温と地温データを観測しながら生育観察を継続しています。この地域では加温をしないハウスで越冬することができ、5月には別のハウスで4mを超える高さになった成木のオリーブをこのハウスに移植しました。

冬の温度が零下20度を超え豊浦町に比べより厳しい寒さの道央の東川町でもハウスでのオリーブ栽培が始まりました。米と野菜生産農家の松家農園はビニールハウスでローズマリーとオリーブの栽培を始めました。ハウスは3層の屋根で、灌水するためのパイプを地中に埋め込んだ寒冷地を考慮した構造です。冬は気温-5℃より低温にならないよう加温をしています。ローズマーリー、オリーブの葉にインゲン豆を加えて代謝産物を作り機能性商品の開発を進めています。

7,000年前のオリーブとイチジク栽培の遺跡発見

果樹栽培としては最も初期の痕跡がイスラエルのヨルダン渓谷のTel Tsafの銅器時代(現在から7200〜6700年前)の遺跡から発見されました。そこでは痕跡の炭素分析から野生種ではないオリーブとイチジクが栽培されていたことを示していると最新の英科学誌Natureが報告しています。

テルアビブ大学の研究者は人間が栽培したオリーブの最も古い証拠で、古代からオリーブオイル、テーブルオリーブ、ドライイチジクは長距離の輸送と課税に適しており、確立した栽培でオリーブとイチジクの量産を実現していた、と仮説を立てています。

オリーブオイルの食品偽装を見つける 

ドイツの分子・細胞レベルの高性能科学機器メーカのブルカー(Bruker)は、核磁気共鳴(NMR)を用いた新しいNMRオリーブオイル分析ソリューションを発売しました。これは世界で最も偽造されている食品の一つであるオリーブオイルの真偽性の検証を可能とし、最初のバージョンでは、スペインとギリシャのオリーブオイルの原産地コンプライアンス検証、IOCが規定する15項目の定量分析などが12分ほどの短時間で可能と述べています。

オレア・オリーブ

北海道上川郡東川町の松家農園で栽培しているオリーブはトルコ原産の品種Gemlik(ジェムリック)です。これはトルコの「ジェムリックスタイル」と呼ばれる黒のテーブルオリーブに最もよく使われる品種です。発根力が高く、部分的に自家和合です。低温に対して部分的に耐性があります。

開花時期は普通で、実の生産性は高く安定しています。実は早く熟し、とてもツヤのある黒い色となり、味もよいと評価されています。実から種(果核)を取りやすい品種です。油分が多い(約29%前後)ため、テーブルオリーブに使用できない実はオリーブオイルの生産に用いられるので、オイル・テーブル両用とみなされています。

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